お伝えしたいこと
メインPCをWindowsやMacではなく、Linuxにしてから半年以上経ちました。
実際のところ使っていてどうなのか、思ったことを好き勝手に書きます。
よろしければ、気軽に拾い読みしてください。
私は元々Windowsユーザーで、Macには全く詳しくありません。
従って、WindowsとLinuxの対比が多くなります。
また、Linuxが好きになったので、Linuxをひいきしたコメントが目立ちます。
そのあたりはご了承ください。
環境
メインPCの環境を書きます。
まずはハードウェアスペックです。
CPU控えめ、メモリ多め、グラボ無しです。
後は読み飛ばして結構です。
項目 | 詳細 |
---|---|
PC本体 | デスクトップ BXNUC10i5FNH |
CPU | Intel Core i5-10210U モバイル用、4コア、最大4.20GHz |
RAM | 64 GiB M471A4G43MB1 (32GB, DDR4) x2枚 |
SSD | 1 TiB, M.2 NVMe WDS100T2B0C |
OSとデスクトップ環境は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
OS | Fedora 33 |
デスクトップ環境 | Cinnamon |
Linuxにしてよかったこと
コスパ
Windows 10 は1万7千円ぐらいします。
一方で、Linuxは無料です。
余ったお金をCPU/メモリに充てられます。
検証環境を整えやすい
Windowsで検証をする時、あれこれ工夫が必要で、一筋縄に環境構築できません。
環境構築した後も、たまにソフトウェアを更新しようと思った時に「当時の工夫」を思い出しつつ対応する必要があり、これに中々労力がかかります。
特に心労が...本当に...凄まじいです。
一方で、Linuxの環境構築はWindowsと比べてシンプルかつ簡単です。
パッケージマネージャーでソフトを入れたらおしまい...のことが多いです。
もちろんOSのパッケージマネージャ (dnf, apt) によって手順は異なりますが、ググればすぐに情報が出てきます。
それに、こういったことを調べること自体がLinuxの良い勉強になるところが良い点ですね。
MacはWindowsより扱いやすいと思いますが、やはりOSのセキュリティ機能や細かな仕様の差によって苦しむ場面がある印象です。
例1. Python
Linuxだと初めからPython3が入っています。
WindowsはPython3を後からインストールする必要があります。
最近はMicrosoft StoreのPython3が初めから入っていて、これが中々曲者でした。
後からインストールしたPythonよりもMicrosoft StoreのPythonの方がPATHの優先順位が高い。
更に、Microsoft Store版のPythonには不具合があった...と記憶しています。
とにかく面倒でした。。
例2. Ansible
Ansibleに限らず、KVMなどLinuxでしか動作しないソフトには概ね該当すると思います。
LinuxはvenvにAnsibleを入れてすぐ動かせます。
3行のコマンドでセットアップできます。
python3 -m venv ~/venv/ansible source ~/venv/ansible/bin/activate pip install ansible
WindowsではAnsibleが動かないので、Linux環境を用意する必要があります。
Linux VMを作るか、WSLを導入するかですね。
その上で、ゲストLinux上で同じ工程を踏む必要があります。
これが中々の手間かなと思います。
コマンドラインが便利
Linuxなら、当然ながらgrepやsed、awkなどの便利コマンドを色々使えます。
Windowsでもcmdやpowershellに慣れている方はあまり困らないかもしれませんね。
あるいはWSL・Git for Windowsの環境を整えている場合も、それほど不便は感じないかもしれません。
それでも私はcmderやWindows Terminal (WSL) よりも、Linuxターミナルの方が好きです。
ターミナルソフトが充実している
Macも同様かもしれませんが。
Teratermに負けないぐらい、便利なターミナルがたくさんあります。
私のお気に入りはTilixです (過去記事)。
多機能で不具合がなく、ショートカットキーも自由にカスタマイズできるためです。
ソフトウェアのインストールが楽
Linuxならコマンド一発でパッケージインストールできます。
WindowsはインストーラをWEBから探してきて、ウィザードをポチポチする必要があります。
ただ、chocolateyなどのツールもあるようなので、このあたりはあまり関係ないのかも...とも思います。
改行コード、文字コード
Linuxにしてから、\r\n
やShift-JIS
に悩まされることはなくなりました。
動作が早い
起動時間についてはあまり変わらないかもしれません。
Linuxはデスクトップ環境を動かしていても15秒ほどで起動します。
※もちろん、SSDを搭載していることも大きいです
ただし、Windowsは起動完了となった後も裏でTelemetryやExplolerのインデックス作成、Windows Updateの受信などでディスクI/Oが絶え間なく発生していました。
一方でLinuxに変えてからはそういったことはなく、無駄なディスクI/Oはほぼなくなりました。
余談ですが、Windowsについても、debloat windows
などのキーワードで検索すると、バックグラウンドプロセスを一括で停止するようなスクリプトを配布しているサイトもあります。
実行は自己責任ですが、確かに多少は早くなります。
Windows Updateで停止したプロセスが復活するので、都度再実行が必要です。
★参考
ちなみに、VirtualBoxやESXiにLinuxデスクトップ環境を入れて動かすと、非常にもっさりしていると思います。
それは仮想環境で動かしているためです。
WindowsのVMでも同様に重くなります。
Linuxを物理マシンに直接インストールすれば、とても快適に動作します。
OS更新
Linuxには、Windowsのような強制バージョンアップや強制再起動はありません。
また、再起動ループのようなひどいバグも今のところ引いていません。
もちろん、Linuxでもサポート切れにならない程度に年1程度のアップグレードは必要です。
Fedoraについては、3行程度のコマンドを入れるだけで、トラブルなくアップグレードできました (過去記事)。
レジストリがない
Windowsのレジストリって難しくないですか?
私だけでしょうか。
Linuxにして困ったこと
周辺機器の動作
Windowsでは周辺機器を認識しないことで困ったことはあまりないと思います。
一方、私のLinux環境では、イヤホンが認識されなかったり、無線LANが使えなかったりしました。
ドライバ関連で問題が出るケースはあります。
どちらも私の環境では解決できましたが、環境次第では解決に時間がかかることもあると思います。
もし解決できなければ、イヤホンが認識されない場合はBluetoothスピーカーで我慢する。
無線LANが使えない場合は有線で我慢する。
...といった回避方法は環境次第で取れると思います。
また、パソコンでゲームしたい方は、グラフィックカードのドライバがLinuxでも問題なく動くか確認したほうが良いかもしれません。
初期設定の難易度
Linuxのインストールに始まり、デスクトップ環境を導入したり、日本語環境を整えたり...といった具合です。
これらのタスクは面倒ですが、良い経験値になります。
検証環境の踏み台サーバを作ったり、ネットワーク検証用のsyslogサーバを建てたり...。
インフラエンジニアであれば、必ず役に立つノウハウが得られます。
Office
LinuxではMS Officeが動きません。
代替製品を使うことになります。
ExcelやPowerpointを日常的に使う方には辛いかもしれません。
私は私生活でOfficeを使う機会が限られているので、ここは妥協しました。
Google SpreadSheetやGoogle Slidesの使い勝手が十分良いので、それほど困りませんでした。
ただクレジットカードやら家計簿など、どうしてもクラウドに置きたくないファイルにはGoogle Appsは使えません。
オフライン環境が必要な場合に限り、FreeOfficeで妥協しています。
使い勝手は60点ぐらい...ですが、機会が少ないので我慢しています。
フリーソフト
Windowsで使えていたフリーソフトも、Linuxには存在しないケースがあります。
ただ、探せば結構見つかります。
以下に代替ソフトの例を書きます。
Windows | Linux | 備考 |
---|---|---|
ペイント | Pinta | 軽量なお絵描きツール |
Snipping Tool | Ctrl + Shift + PrtScreen | ソフト不要 |
メディアプレイヤー | Celluloid | ショートカットキー充実 軽量 |
オフィス | GSSなど FreeOffice OnlyOffice WPS Office |
完璧なものはない |
裏を返せば、上記以外でソフトがなくて困ったことはあまりありません。
フォント
LinuxではMSゴシックなどのフォントが使えません。
MS系のフォントはその名の通りMicroSoftの製品に付属するもので、フリーフォントではないためです。
私生活ではあまりないかもしれませんが、Excelなどのローカルのファイルを他の人と共有するときに、互換性に難儀するかもしれません。
ただ家のパソコンで仕事することが無いのであれば、困ることはそうそうないと思います。
自分の作業の都合だけであれば、Noto Sans CJK JP
やSource Code Pro
などを使っておけば生活に困ることはありません。
(おまけ) Fedoraを選んだ理由
RedHat系ディストリビューションの操作に慣れていたためです。
また、CentOSなどと比較してパッケージの品揃えが圧倒的に良いです。
新しいパッケージの方が使い勝手がよく、互換性もあり、ちゃんと動きます。
パソコン用途ならCentOSよりFedoraの方が良いですよ。
後から海外エンジニアの動画などで何度も聞いたのですが、RedHat系のディストリビューションはよくテストされていて、安定性に優れているとのことです。
たまたまですが、そういった意味でも良い選択でした。
ただ、debの方がrpmと比較してパッケージの品揃えが良いようです。
パソコンでゲームをするなど、検証以外でも多様な用途でパソコンをフル活用したい場合は、Debian系のディストリビューションもありかもしれません。
Linux Mintなど、扱いやすくて人気がありますよね。
(おまけ) Cinnamon を選んだ理由
Windowsから移行して全く違和感がないのがCinnamonでした。
それどころか、Windowsよりデザインや使い勝手が良く、とても気に入っています。
他にもWindowsライクなデスクトップとしてKDEがありますが、設定画面のわかりやすさではCinnamonに軍配が上がりました。
拡張機能 (Desklet) の充実具合は圧倒的にKDEですが。
Cinnamonの場合は拡張機能を一切使わないことになると思います。
他にも以下のような特徴があります。
- 動作が安定している
- UIに統一感があってわかりやすい
- Windowsライクな見た目
- Windowsライクなショートカットキー (
Alt+F4
など)。更にカスタマイズも可能 - 普通に綺麗
- Windowsより良いところも...
Mac出身の方は別のデスクトップ環境の方が良いのかもしれません。
最後は結局好みになるので、仮想マシン上に様々なデスクトップ環境をインストールして、あれこれ試す工程は必ず必要になると思います。
まとめ
LinuxをメインPCにして感じたことをあれこれ書きました。
まとめると、「はやい、やすい、うまい簡単」に尽きます。
ゲーミングPCとしての活用は難しそうですが、検証やブラウジングやドキュメント作成に限れば非常に使い勝手が良いです。
Windowsが重くてうまく動かないノートPCなどあれば、試しにLinuxを入れてみてはいかがでしょう?
思いがけず、良いサブPCが手に入るかもしれません。