お伝えしたいこと
Linux のブラウザには、残念ながら結構癖があります。
それが仮におなじみのFirefox や Google Chrome であってもです。
本記事では、私のわかる範囲で 具体的な癖の内容とその解決策 を紹介したいと思います。
なお、紹介している内容は以下の環境での内容となります。
- 2020年9月時点の情報
- Fedora 32 Server + Cinnamon Desktop 4.6.7-1
- Firefox 80.0.1 (64-bit)
- Chrome 85.0.4183.102 (64-bit)
Firefoxの癖と解決策
マウススクロールが遅い
実際にやってみればわかると思います。
Firefox で適当なページを開いてマウスホイールを回すと、スクロールが非常に遅いことに気づきます。
解決策は、以下の手順で about:config
を弄る方法になります。
- ロケーションバー (URLを書くところ) に
about:config
と入力してEnter - 警告が出るが、
Accept the Risk and Continue
から先に進む mousewheel.default.delta_multiplier_y
で検索する- デフォルトでは
100
に設定されているので、ダブルクリックして値を編集する。私の環境では、250
に設定
YouTube Live など一部の動画が再生できない
通常のYouTube動画は何もしなくても再生できます。
でも、YouTube Live は再生に失敗します。
これは、H.264
と呼ばれるコーデックがFirefoxに同梱されていないことが原因のようです。
対策は2つあります。
- Google Chrome など、他のブラウザを使う
- RPM Fusion リポジトリから
ffmpeg
パッケージを導入する
1つ目の対策であるGoogle Chrome については、本記事の後半で紹介します。
2つ目の対策ですが、以下の2ステップで対応可能です。
(ステップ1) RPMFusion のFree版のrpmリポジトリを追加します。
Fedora のバージョン (31, 32, 33, ...) によってリポジトリが変わるので、将来的にFedora をバージョンアップする際には意識が必要かもしれません。。
RPMFusion公式サイトに記載されているとおり、以下のコマンドでインストールできました。
sudo dnf install https://download1.rpmfusion.org/free/fedora/rpmfusion-free-release-$(rpm -E %fedora).noarch.rpm https://download1.rpmfusion.org/nonfree/fedora/rpmfusion-nonfree-release-$(rpm -E %fedora).noarch.rpm
(ステップ2) ffmpeg をインストールします。
sudo dnf install ffmpeg
Firefoxを再起動したら、YouTube Live も再生できるようになっているはずです。
(参考) RPM Fusion のセキュリティについて
RPM Fusion を勧めておきながら矛盾するようなのですが、サードパーティーのリポジトリを無闇に使うのは危険です。
とはいえ、ライセンスなどの関係で公式のパッケージリポジトリでは配布できないものを導入したいとき、どうしてもサードパーティーに頼らざるを得ないときも多々あります。
そんなときは、リポジトリについてこのあたりを知っておくと良いのではないかと思います (私の主観です)。
- セキュリティは大丈夫か?
- rpmファイルが偽物で、悪質なコードが実行されたりしないか?
- 既存パッケージに悪影響を与えないか?
RPM Fusion について言えば、私は以下のように判断しました。
- Fedora の Documentation で言及されているので、怪しくはない
- ただし、企業がrpm全てを綿密に品質管理しているわけではなさそうなので、過信は禁物...かもしれない
- 既存パッケージへの影響については、保証があるわけではないが配慮されてそう
- RPM Fusion のリポジトリを有効化して、RPM Fusion のパッケージを1つもインストールしていない状態で
sudo dnf upgrade
を実行したところ、RPM Fusion からパッケージを更新しようとする動きはなかった
「それでも既存パッケージの上書きのリスクが気になる」という方は、例えば以下のコマンドでリポジトリをデフォルトで無効化するのも良いと思います。
※私は無効化したことを忘れそうなので、有効化したままです
# rpmfusion-free と rpmfusion-free-updates が有効であることを確認する dnf repolist --enabled rpmfusion* grep enabled=1 /etc/yum.repos.d/rpmfusion-free* # リポジトリを無効化する sudo dnf config-manager --set-disabled rpmfusion-free rpmfusion-free-updates # 実際のステータスと設定ファイル両方が更新され、無効化されたことを確認する dnf repolist --enabled rpmfusion* grep enabled=1 /etc/yum.repos.d/rpmfusion-free*
上記手順で無効化した場合、次回以降は --enable-repo オプションでRPM Fusion を有効化したいときのみ有効化します。
例えばffmpeg をインストールしたい場合は、以下のようなコマンドになります。
sudo dnf install --enablerepo='rpmfusion-free,rpmfusion-free-updates' ffmpeg
無効化した設定を元に戻したいときは、以下のコマンドを実行します。
sudo dnf config-manager --set-enabled rpmfusion-free rpmfusion-free-updates
Google Chrome の癖と解決策
※Google Chrome のインストール方法は後述します。
マウススクロールが遅い
Linux 版のChrome もマウススクロールが遅いです。
Chrome の場合は、シンプルに拡張機能で対応します。
Chrome Webstore で Scroll Speed といったキーワードで検索すれば良いアドオンが見つかります。
どれでも良いのですが、私は Linux Scroll Speed
にしました。
同じアイコンの拡張機能がもう一つありましたが、更新日が新しい方にしました。
Chrome 拡張機能なので、Chrome の設定画面やWebstore では効果がありません。
残念ですが、そこは我慢してください。
ちなみにググると imwheel というパッケージを使った解決方法も出てきます。
これは特定のアプリのウィンドウがアクティブな場合にマウスホイールの挙動 (今回の場合はスクロール速度) を調整するといった使い方です。
残念ながら、こちらのやり方はChrome のウィンドウが非アクティブな状態では効果がなく、使い勝手があまり良くなかったので不採用としました。
(参考) Google Chrome のインストール方法
Cinnamon デスクトップ環境の場合、Firefoxはデフォルトでインストールされていますが、Chrome は別途インストールが必要です。
Fedora Wiki を参考に、Chrome のインストール手順を紹介します。
- 公式のGoogle Chrome配布サイトにアクセスする
Download Chrome
のリンクから、パッケージをダウンロードするsudo dnf install google-chrome-stable_current_x86_64.rpm
のように、rpm ファイルを指定してインストールするgoogle-chrome
リポジトリが追加され、Google Chrome 本体もインストールされる
まとめ
Linux版の Firefox と Google Chrome の癖と解決策を紹介しました。
似たような事象で困っている方、ぜひ参考にしてください。